生楽器ならではの体温、
ステージを彩る楽器たち。
それは「生楽器ならではの体温」です。
それらすべてがひとつに溶け合ったとき、
私たちは、その瞬間にしか生まれない “生きた音” を、届け続けています。
VIENTOS
Quena
Quena(ケーナ)は、アンデス音楽におけるビエントス(スペイン語で「風」を意味し、ケーナやサンポーニャなどの管楽器群を指す)を代表する縦笛です。
リードを持たず、上部にある“歌口”(切り込み部分)に息を吹き付けて音を出します。
素材は主に竹や木が用いられ、現在ではこれらが主流とされています。
音色や表現は奏者の息づかいとコントロールに大きく依存し、柔らかな旋律から鋭いアクセントまで幅広いニュアンスを生み出すことができます。
アンデスの民謡から現代フォルクローレまで幅広く使用され、地域の文化と深く結びついた伝統楽器です。
一般的に「ケーナ」と呼ぶ場合は標準サイズのものを指します。
管の長さ(=調性の違い)によっていくつかの種類があり、代表的なものとして以下が挙げられます。
・Quenilla(ケニージャ)
・Quena(ケーナ)
・Quenacho(ケナチョ)
Zampoña
トーヨをトレンサード奏法で演奏するアントニーとサンドロ(2025ツアー)
Zampoña(サンポーニャ)は、旧インカ帝国を中心としたアンデス地域で伝統的に演奏されてきたパンパイプの一種です。
閉じた葦の管を段階的に並べ、1本ずつに息を吹き込むことで音を出します。
サイズのバリエーションが非常に豊富で、軽やかな小鳥のさえずりのような高音域を奏でる小型のものから、重厚で深い響きを生む大型のものまで幅広く存在します。
管の長さ(音域)によっていくつかの種類に分けられ、代表的な呼称としては以下が挙げられます(※地域やグループにより名称や分類は異なります)。
・Chuli(チュリ)
・Malta(マルタ)
・Zanka(サンカ)
・Toyo(トーヨ)
二重列の管をもつSiku(シク)での奏法や、複数人で音を補い合って演奏するTrenzado(トレンサード)のような奏法など、多様な演奏スタイルが存在します。
これらはアンデス音楽の象徴的な響きを形づくる重要な要素となっています
Tarka
Tarka(タルカ)は、一本の木をくり抜いて作られる四角い形状の縦笛で、6つの指穴を備えています。アンデス地域、とくにボリビアやペルーの高地で古くから伝わる伝統的な木製フルートです。
タルカには完全5度の音程差を持つ大小2種類があり、この2本を同時に吹いて演奏することが多いです。
低音と高音が混ざり合うことで、西洋音階では表現しきれない独特の響きと音階が生まれ、祭礼や舞踊音楽に特有の力強さ・野性味を与えます。
その素朴で荒々しい音色はアンデス高地の風土とも深く結びつき、現在でもカーニバルや地域行事で盛んに演奏されています。
Ocarina
Ocarina(オカリナ)は、イタリア語で「小さなガチョウ」を意味する ocarina に由来する名称を持つ管楽器です。涙滴状の丸みのある形が特徴で、素焼きの陶器によって作られることが多く、温かみのある素朴な音色を生み出します。
音域は一般的に約1オクターブ半で、指穴の操作も比較的わかりやすく、リコーダーのように息を吹き込むだけで音を出しやすい点が魅力です。
その親しみやすさから世界中に愛好者が多く、日本でも幅広い層に楽しまれています。素朴な響きはフォルクローレでも柔らかな彩りを添える役割を担っています。
Pututo
Pututo(プトゥト)は、アンデスの古代文化に深く根付く貝製のホルン(法螺貝)や角笛で、儀式・祭礼・合図などに重要な役割を担ってきた民族楽器です。
海岸で採れる大型の巻貝や動物の角を加工して作られ、遠くまで響く重厚で力強い音を放ちます。
チャビン文化の遺跡から多数の Pututo が出土していることからも、アンデス文明にとって象徴的な存在であったことがわかります。
現代でもフォルクローレの演奏や、地域の祭礼の中で用いられ、その伝統が受け継がれています。
CUERDAS
Charango
Charango(チャランゴ)は、16世紀にスペイン人がアンデスにもたらしたギターを起源として発展した、小型の弦楽器です。かつてはアルマジロの甲羅を胴に使った楽器も存在しましたが、動物保護の観点から現在は木製ボディが一般的で、伝統と現代的な製作技法が融合した多様なスタイルが見られます。
弦は 5コース10弦 で、標準的な調弦は上から ソ・ド・ミ・ラ・ミ(G–C–E–A–E)。
ナイロン弦の明るく繊細な響きが特徴で、速いアルペジオや細かな装飾音に適した軽快な音色を生み出します。
チャランゴは、アンデスの民謡や現代フォルクローレに欠かせない楽器で、ソロ楽器としても伴奏楽器としても幅広く活躍しています。
Guitarra
Guitarra(ギター)は、ペルーをはじめとする南米の伝統音楽で非常に重要な役割を果たす弦楽器です。単に和音を支える伴奏楽器というだけでなく、旋律やリズム、さらにはベースラインまで担当するなど、1本で多くの役割を兼ね備えています。
クラシックギターやフラメンコギターに代表されるナイロン弦のギターが主に用いられ、柔らかく温かい音色が特徴です。
ナイロン弦ならではの音の立ち上がりの柔らかさにより、細かなアルペジオやリズミカルなストロークにも適しており、フォルクローレ特有の軽快さや哀愁を表現するのに欠かせません。
地域やスタイルによって奏法も多様で、ソロからアンサンブルまで幅広く使われる、アンデス音楽の中心的な楽器です。
PERCUSIÓN
Bombo
ボンボを演奏するサンドロ(2025ツアー)
Bombo(ボンボ)は、スペインの軍楽太鼓を起源とするアンデス地域の伝統的な大型ドラムです。胴には木製の枠を用い、両面に牛・山羊・リャマなどの毛が残ったままの生皮を張る点が大きな特徴となっています。この毛付きの皮が独特の重厚感と温かみのある響きを生み出します。
演奏時は、太鼓を肩から掛けて抱えるようにして叩くほか、床に置いて演奏するスタイルも一般的です。
太く力強い低音は、フォルクローレのリズムの土台を支え、祭礼や舞踊音楽に欠かせない存在となっています。
Cajón
Cajón(カホン)はスペイン語で「箱」を意味する名のとおり、シンプルな箱型の構造を持つペルー発祥の打楽器です。その起源は、植民地時代にアフリカから連れてこられた奴隷の人々が、楽器の所持を禁じられた環境の中で、タンスの引き出しや木箱を叩いてリズムを奏でたことにあると言われています。
正面の板(打面)を手で叩くことで、低く響くバス音から乾いたスネアのような音まで多彩な音色を生み出せるのが特徴です。
現在ではペルー音楽の中心的なリズム楽器として広く用いられ、フラメンコやポピュラー音楽の分野でも使われるようになり、世界的に普及しました。
Chakcha
蹄(ひづめ)製チャクチャ(2025ツアー)
マイチール製チャクチャを演奏するアントニー(2025ツアー)
Chakcha(チャクチャ)は、Chajchas(チャフチャス)の名でも知られるアンデスの伝統的なシェイカー系のリズム楽器です。素材には、ヤギやリャマの蹄(ひづめ)や、マイチールと呼ばれる木の実を紐で束ねて使用されます。
素材によって音色が異なり、蹄は硬質で鋭いカラカラとした音、マイチールはより柔らかく丸みのある響きを生み出します。
演奏は、手に持って振るだけというシンプルなものですが、舞踊や祭礼のリズムに独特の躍動感を加える重要な役割を果たします。衣装や踊りの動きとも相性がよく、アンデス音楽の祝祭的な雰囲気を象徴する楽器です。
Bongó
Bongó(ボンゴ)は、アフリカ起源の太鼓文化を背景に、17〜18世紀にかけてキューバへ連れてこられたアフリカ系の人々が持ち込んだ打楽器が基礎となり、キューバで発展した二連の小型太鼓です。現在の形はキューバ音楽の中で改良されて定着したものとされています。
左右の太鼓には明確な呼び名があり、口径の小さい方をスペイン語で「男性」を意味する macho(マッチョ)、大きい方を「女性」を意味する hembra(エンブラ)と呼びます。それぞれ音色が異なり、マッチョは高く明るい音、エンブラはやや低く温かみのある音を響かせます。
両手で素早く叩き分けることで特徴的なリズムを生み出し、キューバ音楽やラテン音楽の基盤を支える重要な楽器となっています。